九龍受な文章 2 この子は何をしても一切抵抗しない。 泣きもするし、声をあげるけども、抵抗だけはしない。 僕がそうするように躾けたので、服を脱がすときも恥ずかしがる素振りはするけども抵抗はしない。 何か抗うような素振りを見せる度にすぐ抵抗する手を叩いて、『抵抗する子は嫌いです』と言い続けた賜物でしょうね。 ですが、今回はその躾もあまり意味を成さなかったようです・・・。 「やっぱり、いや・・・・それ、いやっ・・・・!」 仰向けに寝る龍さんに僕が馬乗りになって、今からどこに薬を塗ってやろうか・・・なんて思考している最中の抵抗。 先が読める能力で未来を見透かしたのか、強い感受性により僕の悪意を感じ取ったのか・・・・そんなことはどうでもいい。抵抗するということが忌々しい。 「いやっ・・・はなれてっ!」 がりっと何かを引っかく不快な音と共に僕の手の甲に痛みが走る。 血は出ていないようですが、龍さんの手が僕の手を引っかいたようですね。 じくりと鈍いとも鋭いとも言えない痛みが不快に走り続ける。 偶然でしょう、おそらく・・・・君が僕に故意で手をあげるなんて、ねぇ・・・。 「ご・・・ごめんなさ、あぁっ!」 今度は頬を張る乾いた音、僕はほぼ反射的に龍さんの左頬を打っていた。 彼の悲鳴にも似た声を聞いた瞬間、僕の心はなんとも言えぬ征服感と底の見えぬ支配欲で満たされる。 今まで自覚はしていなかったけども・・・やはり、僕はその方面の人間なんですね。 少し打った手が熱い。力加減をするのを忘れてしまったようです。 「痛かったですか?」 龍さんの涙に濡れ赤く変色した頬へ手を伸ばすと、僕はゆっくりと自らが痛めつけた部分を撫でる。 「でも、悪いのは君です。」 「・・・・は、い。ごめん・・・なさい・・・・・。」 理不尽で自分勝手な僕のセリフに再び頬を涙で濡らし、龍さんが涙に潤んだ声で謝罪する。 僕はそれに未だに熱持った頬へのキスで返すことにした。 すると彼の強張っていた全身が少し弛緩する。僕はこんなことで安心する彼が愛おしくてたまらない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |