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創作な文章

「・・・なぁ、やっぱ冒険者ってーのはダメなわけ?」
 
しかし、経験を積みたくとも、両親が旅に出るのを許してくれなくちゃ話にならない。
 
ホコリすら被ってないピカピカの鎧を撫でながら、俺は母に尋ねてみる。(うちでは母が最大権力者)
 
「冒険者という職業については反対しないわ。私達も自分の生き様を否定したくはないし。」
 
なるほどな。『冒険者なんかヤメなさいっ!』なんて言ったら、昔冒険者やってた両親の立場ないもんな。
 
「でも、今純粋な戦士って優遇されないじゃない・・・せめて簡単な治癒魔法でも使えればいいんだけど。」
 
母の言う純粋な戦士っていうのは魔法が一切使えない戦士のことを言う。
 
少しでも魔法が使えれば魔法戦士っていうまた別の職業になる。
 
ちなみに、魔法戦士は魔法も武器も両方使えるという面でかなり優遇される職業だったりする。
 
魔法が使えるだけでこの素晴らしい扱いの差、泣きたくなってくるな。
 
「あ、知り合いの魔法使いがいるわ。その人と一緒ならいいわよ。」
 
ポンッと母が手を叩き笑顔でそう提案した。
 
なるほどな。母の知り合いなら、最近の戦士によくある魔法使いの奴隷的扱いもないってか。
 
まぁ、流石に知り合いの息子を奴隷扱いはしない、よな。
 
「いや、だが、母s」
 
「そうしようそうしよう。早速、手紙を送りつけましょ。」
 
父が何か言おうとしたみたいだが、一度自分の中で解決してしまうと母は何も聞きやしない。
 
いそいそと紙、インク、羽ペンを探し出す母の姿に父は諦めたように軽く溜め息をついて芋の皮剥きに戻った。
 
見た目も若々しいエルフの母と違い、人間の父は若さがないせいで言い返す気もないのか、それとも、昔から母に押し切られていたのか・・・俺は後者だと思う。

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