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創作な文章

まるで炎の如く赤く光る火竜の鱗で作られた鎧・盾・兜・脛当て、そしてそれを全身に纏う俺。

「うーん、いつ見てもカッコイイ。」

どう見ても歴戦の戦士。

中身は小さいモンスターなら数回狩ったことあるってしか言えない経験値もまだまだな村人Aってとこなんだけど。

で、なんでその村人Aがこんな歴戦の戦士がつけるような立派な防具を持ってるかと言うとー・・・。

実は少し前に村近くの休火山に火竜が住み着きましてね。

身体は街にある『100人入ってもだいじょーぶ!』な教会なぐらいに大きくて、羽を羽ばたかせれば子供なんかは簡単に『あーれー』と吹き飛び、鋭い牙は岩をクッキーみたいにサクサク噛み砕く。

そんなのが村近くに住み着かれちゃ堪ったもんじゃない。

俺達は村のみんなで急いで金をかき集めギルドに依頼を出しました。

で、俺はこないだギルドの依頼を受けて火竜を狩りに来た冒険者御一行様のお手伝いをしたわけ。

うん、荷物持ちっていうお手伝い。

そのお礼と言うかお駄賃代わりに、家庭用の包丁じゃ傷すらつかない、奥様達には『硬すぎて切れないわ!』と評判の火竜の鱗を大量に貰ったわけ。

なんで奥様達が火竜の鱗を切るんだ、というツッコミは厳禁です。たとえです、たとえ。

冒険者御一行様曰く『火竜の鱗で作った装備は硬いけど重いからいらない』だってさ。

こんな台詞で若干想像つくかもしれない。そうこの冒険者御一行様は全員魔法使いでした。

全員魔法使いじゃ重い装備なんていらないよねー、荷物持ちだって必要だよねー。

もう戦士なんていなくても、パーティは成り立つんですね・・・。

はぁ、酒に酔った父がよく話してくれる武勇伝がマジで嘘みたいだ。

俺が生まれる前まで、俺の両親は冒険者をしてたらしい。

まぁ、家にかなり使い込まれた剣や弓があるので事実なんだろう。

父が戦士でエルフの母が弓使いで、二人で剣と弓を持って大陸を冒険したそうな。

で、その冒険の最中に俺という存在が出来て、二人で『引退するにはいい頃合だろう』と父の父、つまり俺の祖父が住んでた家と管理してた畑を継いで、今の平々凡々、晴耕雨読で穏やかな生活に至る。

昔は冒険者と言えば戦士のパーティだったそうなんだがな。

こないだの魔法使いオンリーパーティに出くわすとな、やっぱり過去の話なんだなぁと思ってしまう。

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