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偶然とは何とも残酷なものだ。
今回のマツバさんの件で、私はそれを痛いほど知った。出来ればもう誰にも会いたくない。
とりあえず逸れてしまった後輩に会わなくては。そう遠くには行ってないだろうと思って辺りを見渡す。





「あ」





私は視線の先にある物に、目を凝らした。
残念ながら後輩の姿はそこにはなかったが、代わりに珍しいものがそこには居た。





「おいで」





紅葉が綺麗な大きい木の幹に、あまり野生では見る事の無いピジョットが羽を休めていた。
手を叩いている私に気付いたのか、ピジョットは私と視線を合わせるなり嬉しそうにこちらに近寄ってくる。
その時にバサバサと翼を広げた姿があまりにも大きくて、私は少し驚きながらもピジョットに優しく抱きついた。




「良い子だね、お前。それに凄くよく育てられてる」




サラサラと手の平で滑るようになめらかな羽の触り心地と、太陽の光で反射して輝くその姿をうっとりと眺める。
何故か、この子を見ているだけで野生ではないと分かってしまった。きっとよく躾けられて、大切に育てられたんだと思う。
ならきっと主人は近くにいる筈だ。よくよく見てみれば、近くにはその主人と思わしき荷物が地面には置かれていた。




「見張り番なの?」




頷くように鳴いたピジョットが、私のお腹にスリスリと頭を埋めてくる。
それがくすぐったくて、私は笑いながら地面に寝転がった。穏やかな風と木漏れ日が心地よくて、うんと背伸びをする。
すると私の横にピジョットも横になり、心地良さそうに目を閉じた。




「なんだか眠たくなっちゃうねー」




本当は今こんな所で寝てはならないと言うのは、重々承知している。
後輩君も急ぎだと言っていたし、今もきっと何処かで私を待っているだろう。
だけど此処最近忙しかったのと、此処までの旅の疲れが今眠気と共にどっと押し寄せてきたのだ。
そして何より懐かしいこの風景と、ポケモンとゆったりしていられるこの時間が、とても懐かしく感じる。
今このひと時がトレーナーの時だった自分を思い出させてくれて、嬉しくて堪らないのだ。




「少しだけ・・・」




きっと彼が先に私を見つけたら起してくれるだろうし、もし置いてかれても後で追いかければいい話だ。
そう思って瞳を閉じたら、何故か急に眠気が押し寄せてきた。
風で葉が擦れ合う音を聞いてるだけで、あの時と同じ風景を思い出させてくれたのだ。


















**********************

















まるでそこに妖精がいるのかと、私は思ってしまった。
夕暮れに近い太陽が、一人の少年と大きな鳥を、オレンジ色に輝かしていたのだ。
起きたばかりのと、その幻想的な雰囲気のせいなのか。頭はまだ寝ているかのように動かない。
そんなゆったりとした時の中、視界の隅でキラリと何かが輝いて落ちた。
ゆっくりと自分の頬に手を添えると、そこでやっと私は自分が泣いているのだと言うことに気付く。





「え・・・なんで」





何で泣いているのだろうか。
自分でもその理由を知っているわけでもないし、考えても出て来るものでもなかった。

ただ何故か、頭には色々な人の顔が思い浮かんでいた。
それはロケット団の皆ではなく、ずっと前に旅の中で出会った人達の顔が、私の中で浮かび上がる。





「ああ・・・そっか・・・マツバさん」





あの人の言葉が、ずっと頭から離れなかった。
そして今、この空間から離れたくないと自分の何かが叫んでいるかのように。
普通の自分にいたいと思ってしまった自分が、この場にすがり付いていたくて、コトネちゃん達の方へ行きたくて泣いていたんだと。

それに気付いた瞬間、涙が溢れて止まらなかった。
認めたくない事実だが、自分の心にまでは嘘を付けなくて、涙でそれを私は気付かされたのだ。






「名前」






すると突然名前を呼ばれ、私はゆっくりと前を向いた。
綺麗な夕日の光に照らされていた鳥が翼を広げ、大きな影が出来る。
その時やっと、私は隣で寝てたピジョットが居ないことに気付いた。



(・・・もしかして)




覚醒していく頭に、自然と私の目は見開かれた。
そしてピジョットに跨った少年の顔が見えた瞬間、私は完全に固まってしまう。





「一人で泣くだなんて、馬鹿なことをしたよなお前も。こうやって辛くなる事ぐらい、分かるだろ」





言われて私は黙ってしまった。彼のいう事が正しいと言う事実は認めたくなくても、認めなくてはならない。
自然と下唇を噛んでいると、前にいた彼が私に笑いながら「でもな」と声をかける。





「レッドは・・・アイツはもう気付いてるぜ。きっと名前が今泣いていた理由も全て」





そう言うと彼はピジョットに「帰るぞ」と言って、いっきに大空へと飛んで行ってしまう。
私は必死に彼の顔を見失わないように木陰から駆け出すと、空から彼の顔が見えた。





「それとピジョット有難うな。あとお前の寝顔、なかなか面白かったぞ」





にっと笑って方目を瞑る彼の不敵な笑みに、私は顔が真っ赤になっていくのを感じた。





「グリーン!!」




怒りながら大空へと叫べば、彼は完全に私を馬鹿にしてるかのように、軽い投げキッスを落としていった。



















再開は突然に















ただ彼にお礼を言いたくなってしまったのは、何故だろうか。
















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短いですが許して下さい・・!
やっと緑の人出せた・・!少ないけど((



11/07/01

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あきゅろす。
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