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夢見の部屋
見えるのは彩とりどりの景色
ちゅんちゅん ちゅん


ちゅんちゅんちゅんちゅんちゅんちゅん



またか…

雀の鳴き声で目を覚ます。この起き方は二度目だ。



「実央、起きろ…」



そうは言ったものの、私の声は実央には届かない。
何故なら…



「時雨様ぁぁあ!助けてくださいよぉおぉぉ!」


こいつは雀に襲われているのだから。




第九話 見えるのは彩とりどりの景色

はじまり、はじまり。


え、今までこんな前振りなかったって?

気にするな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ひ、ひどい目に合った……。」



「おや、よくあの群を追い払ったな。偉い偉い。」



そういってなでてやると、すり寄ってきた。大きい猫を相手している気分だ。
しかし、だっことおんぶは駄目なくせに
なでられるのは好きらしい。違いがわからない。
  



何はともあれ、ここはどこだろう。
首を動かすのは億劫なので、目だけ動かして確認する。



「インテリアは一つだけか…。つまらない部屋だ。」


「え?インテリアって言うほどの物は、この部屋には一つも…」



「あるじゃないか、ここに。」



天井を指差す。
ん、居ると言った方が適切か?

何にせよご苦労なことだ。昨日の晩、私達がここに来てからずっと監視して居たのだろう。


…もしもこの時代じゃなかったらこれは立派なストーカー罪だ。通報するぞ。




「ご苦労様。」



取りあえずねぎらいの言葉を掛けてみた。
む。気配が揺らいだ。まだまだだな。



スーーー



「ん、あれ?なーんだ起きてんじゃん。はよ!!」



なんかきた。寝たふりをしよう。

ただいま布団、おかえり私の時間……



「いやいやいや待て待て待て!お前なんか俺に恨みでもあんのかよ?!」



「それは……





特に無いが。」



本当に無い。強いて言うなら……やっぱり無い。



…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。



「と、とりあえずさ、土方さん達待ってっから!早くこいよな!」



「……あなたはバカなんですか??」



よく言った。実央。



「はっ、はぁあぁぁぁあ??!!」


「どこ行くかも言われてない上、手足は拘束されたままですよ??どうやって、どこに、行けば、いいんです、か!!」



「わ、悪かったって!」



とりあえず足の縄をほどいて貰った。


「手の縄は勘弁な!勝手にはずすと怒られちまう。」



「いや、大丈夫だ。すまない、ありがとう。」




案内役の、この長い茶髪の少年について、大広間とやらに行く。

この少年、名前は藤堂と言うらしい。
私も返しで名乗ったら、「時雨君かー、よろしくなー!」と言われた。

君、と言うところに若干引っかかる。
どうやらこいつは私を男だと思って居るようだ。



…本当の性別は黙っておくか。面白そうだからな。

性格が悪い?ほっとけ。


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