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夢見の部屋
雨宿りをしようか
「アホですかあなたは!!ここはどう考えても茶店なんかじゃないでしょう!!」


「そう決めつけるのはよくない。」


「どこの国に、竹刀が立て掛けてある茶店があるんですか!?」


「過去に私は巨大な人が立て掛けてある茶店で茶を飲んだことがあるが?」


「もういいです…」


あれは苛烈だったな。人がまるでゴミのように積み重なって立て掛けてあった。


「あの……」


「「???」」


誰だ?またあの巨人か??


「何か…ご用でしょうか?」


全然違った。華奢で清楚な可愛らしい少女だった。
巨人だと思っていた私をぶんなぐってやりたい。


丁度いい、この少女に聞いてみるか。


「失礼。ここは茶店だろうか?」


「え?!」


心底驚いたのだろう、目がまんまるで今にも飛び出しそうだ。よし、この子はハムスターちゃんと呼ぼう。

ハムスターの目はいつ飛び出るかわからないから怖い。


「ここは、新選組といって、茶店ではないですよ?」


む。そうなのか。

ほらやっぱり!!と言わんばかりの実央の視線を受け流し、少女を見つめた。


「……///?」


おや、袴と揃いの桃色に染まった。これはこれでハムスターに似ている。


「すまなかった、茶店と勘違いしてしまって。」


「あ、いえ!おきになさらず!」


「このあたりに、どこか休めるところはないだろうか?」


ダメもとで聞く。日が暮れる前に腹ごしらえはしておきたい。


「それでしたら、この道をまっすぐ行くと橋がありますから、その橋を渡って西の方へ行くとありますよ!」


聞いてみるものだ。

「すまない、助かった。」


「本当でしたら、御案内したいのですけど…」


私、ここで預かりの身なので。

寂しく笑う少女を見てーー


ぐぅぅううう


腹が鳴った。実央の。


「…ジトーー」


「クスッ」


「わわわわたわたわたわたごめんなさいぃぃ!!」


わたわたわたわたわたわたわたわたわたわたわし。


「うるさい。」


「はう……」


「美味しいお団子なんかもありますから、いっぱい食べてくださいね!」


「ありがとう。」


「ありがとうございます……」



お気をつけてー!!と手を振る少女に私たちも手を振りかえす。うん。いい子だ。あの子は。



「時雨様…あの女のひと…」


「いい子だな。」


「そうですね…じゃなくって!」


「分かっている。人ではないな。あの少女は。」


「!やっぱり…」


「ハムスターだ。」


「はぇえ??」


「そんな間抜けな声をだすな…冗談だ。」


鬼ーー女鬼だな。
こんなに早く遭遇するとは驚いた。面白くなりそうだ。



「時雨様…お腹空きました…」


「クックッ……あぁ、行こうか。クックッ…」


「その笑い方、止めた方がいいですよ。」


「なぜだ?」


「不気味です。


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