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夢見の部屋
まずは灰色の景色から。
「土方さーん、昨日のヤツら連れてきたぜー!」



スパァンと襖を開け放つ藤堂。それと同時に流れ込んでくる淀んだ空気。



「ご苦労だった。平助、座れ。
…おまえ等もだ。」
 


とりあえず、明らかに不自然に空いている場所に座る。
この位置を例えるならば、某有名な遊び「かごめかごめ」がふさわしいだろう。


しかし、居心地が悪すぎる。なんだこの空気の悪さ。
思わず空気清浄機を置きたくなった。


…いや、置いてないからな。そこまで非常識ではない。



「おはよう。昨日はよく眠れた?」



「さすがに眠れないよねー、あんなの見ちゃったらさぁ。」



「あ、怖がらないでいいよ。どーせ短い命なんだし。



「僕に斬られるなんて、君達ついてるよね、ねぇ?一君。」



「何故俺にふるのだ総司。」



ていうかさっきはスルーしていたが、淀んだ空気というのは主にこいつの殺気だ。

名前はたしか………あ、ソウジか。

ソウジ……そうじ……掃除?
綺麗好きにはとても見えない。どちらかというと、破壊掃除機という方がしっくりくる。
破壊掃除機…ははははは。



(時雨様、人の名前を弄ばない方が良いですよ…)


ばれていたか。幸い口に出していないようだし、good job、わた「全部口に出してるぞあんた…」おっと?


「掃除機っていうのが何なのか知らないけど、いい意味じゃないよね、完璧侮辱してるし。というわけで斬っちゃっていいですか?」



「待、待て総司!さっきからどうした、殺気を隠そうとしないし、お前らしくもない。」



眉をひそめて言う…えっと、誰だ。まぁいい。ところでこいつはこれが通常なのではないのか。

少なくとも、私が見た限りではこいつは常に殺気丸出しなのだが。ふむ。嫌われ設定なのか私は。



「だって僕、この人好きじゃないんですもん。それに、新選組の敵っぽくないですか?」



確定。どうやら嫌われ設定のようだ。
まぁ俗にいう「逆ハー」ではないだけましか。
あれはつまらなさすぎる。何もしてないのに男が寄ってくるなど、鬱陶しいことこの上ない。

「とりあえず話だけでもさせてくれませんでしょうか。」



痺れを切らしたのか、実央が姿勢を正して喋り出した。
基本的にこういうめんどくさいことは実央に任している。大人としてそれはどうなのか、と思った方、
…ほっとけ。それが私だ。



「僕たちの話を聞いてください。お願いします。」



「まだ小せぇのに立派じゃねぇか。まぁ、そう堅苦しくなるなって!」



「総司はあんなこと言ったが、別に俺らはおまえ等をどうこうするつもりはねぇよ。」



「話してみろ。」



上から、実央、何か筋肉マンっぽい人、
赤いエロい人、そして土方。


…名前がわからないのは仕方ないだろう。名乗られてないんだから。



「ありがとうございます!僕たちは…」



らんらんという音がつくほどのオーラを出しながら、嬉しそうに口から出任せを話し出す。


…たとえば、「自分達は港町に住む商人」だとか
「崖から落ちて、記憶がなくなった」だとか
「落ちたところをある村の夫婦に助けて貰った」だとか。


さすが実央。だが…



「港町…このあたりに港はねぇが?」


「崖から落ちて、生きてる奴は初めて見たぞ。」



「とある村っつーのはどこの村だ?もちろん名前くらいは知ってるだろ?」




ことごとく蹴落とされていく実央の頑張り。
あーあ、泣きそうになってるじゃないか。可哀想に。



「ぅっうあぁん、うぁぁあああん!!!」


あ、泣いた。



「あーあ。泣かせた、いたいけな実央を。」



「「「「「「…………………………。」」」」」」


「なっ、なんだ!てめぇら!俺だけが悪いみてーな顔しやがって!」



「いや、なんつーか…子供を泣かせるっていうのはどうかと思うぜ…?」


「すっげー一生懸命しゃべってたじゃん、こいつ…。」


「お言葉ですが、何か嘘をつかねばならない事情がこの者達にはあるのでは?」



「わー。土方さんの鬼副長ー。」



「てめぇら…。」




周りはもう実央を庇う雰囲気になった。
青筋たてている土方。哀れだ。かっこわらい。



「土方…そんな青筋たてると、血管爆発するぞ。」



「ほっとけ!!!」


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あきゅろす。
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