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小説







その知らせは、あまりに信じ難い内容で。
一年経った今でも、受け入れることが出来ていない。


今はただ、あいつに会いたい。
会いたくて、仕方ないんだ――…










あいつ――ツバサとの出会いは、まるでドラマか漫画のワンシーンのようだった。


桜の蕾が綻び始めた頃。
駅前の本屋で、残り一冊になった雑誌に手を伸ばしたら、横から同じように手が伸びてきて。
ちらりと顔をあげると、そこにいたのは少し癖のある髪を金色に染め上げた少年だった。


俺が先だ、いや俺だろ。
そんな、どこかで聞いたことのあるようなやり取り。
その雑誌っていうのが『女子高生制服図鑑』という何ともありきたりなタイトルのエロ本じゃなければ、結構いい感じの脚本だったのかもしれない。


結局じゃんけんで蹴を付けて、そのエロ本は見事俺の物になった。
けれど、あいつがあまりに名残惜しそうな顔をするもんだから、



「だったら、一緒に見る?」



そう言ってやったんだ。


俺は昔から絵を描くことが好きで、芸術科のある都市部の高校に進学していた。
牛がその辺を闊歩しているような地元から通うには無理があったから、学校の近くにアパートを借りての一人暮らし。
初対面で、なおかつ平凡な自分とは全く異なる雰囲気を持つ人物とはいえ、同年代の男を家に呼ぶことには何の抵抗も感じなかった。





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