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小説







「……そりゃ初対面であれだけインパクトあること言えば、嫌でも覚えてるだろ…」

「ん?」

「ん?じゃねーよ。あの告白のことについて、何も聞かれなかったのか?」

「聞かれてない。だから、彼女になってもらうにはどうしたらいいかと佐川に聞いてるんだ」

「“だから”って何。……いや、もーいいや」



今の佐川は、あのママさんコンビニ店員と同じ顔をしている。
もうすぐあくびも飛び出すかもしれない。


この話題、佐川にとってはくだらなかっただろうか。
整った容姿とちょっぴりワルという付属要素のおかげで、佐川はかなりモテるようだ。
きっと、彼女なんて寝ていたって出来るのだろう。
現に、佐川はよく寝ている。



「…メアドは聞いたか?とりあえずはメールから始めるのが無難だろ」

「携帯は持ってない」

「へー今時珍しいな、ホアルン?さん」



俺でもまだ「李さん」と呼んでいるというのに、「華倫さん」。
……けしからん。
それは後々注意するとして、まずは誤解を解かなければならない。



「李さんじゃなくて、俺だ」

「は?」

「携帯は、持っていない。俺が」

「はぁ?今時ありえねぇだろ!」



何故李さんには“珍しい”で、俺には“ありえない”なのか。
理不尽だ。
そもそも、電話なんて一家に一台あれば、十分な代物だと思うのだが。





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