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小説




隣でブツブツと何かを呟く佐川を見て、不思議に思う。
だが、俺は今そんなことには構っていられないのだ。



「どうしたらいい」

「あ…?ああ、彼女にするにはって話?つーかお前、いつの間に名前なんか知ったんだよ」



運命の出会いをしたあの日、折角彼に話し掛けたというのに、俺は佐川に半ば無理矢理退散させられた。
ご迷惑おかけしましたと頭を下げる佐川を見て、きょとんとした顔をしていた李さんは、小さな子供のようでとても可愛らしかった。



「部活の後、彼がバイトに入っている日はいつも、プリンを買いに行っている」

「それで、名前を聞いたと?」

「誕生日や家族構成、他にも色々と聞いた」



正直なところ、自分でも驚いている。
今までの恋は、見ているだけで満足感を味わえていたのに、今回は勝手に身体が動く。
口も動く。
佐川が言うには、俺は元々正直でストレートな人間らしいが、これが普段の自分とは違うということはなんとなく自覚している。



「……不審者に間違えられんなよ。よく知りもしない人間に根掘り葉掘り聞かれちゃ、相手も怪しむだろ」

「皆してることだ」

「しねーよ」

「してた」

「はぁ…?」





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あきゅろす。
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