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小説




「例えばさ、去年同じクラスだった高木幸子。お前、あいつに昔何て言ったか覚えてるか?」

「何か言ったか?」



そういえば、佐川とは去年も同じクラスだったことを思い出す。


高木というのは、以前俺が好意を寄せていた女子だ。
黒髪ストレートのロングヘアーで、俺はいつも斜め後ろの席から彼女を見つめていた。
ああ、今時珍しい綺麗な黒髪だ、と。


見た目はまさに大和撫子。
だがあるとき、彼女はスカートを履いているというのに椅子に片足を立てて座っていて――



「『パンツ見えてるぞ』」

「ああ…言ったな」



自分でも忘れかけていたことを、佐川はよく覚えてるなと思いながら、俺はそのときの記憶を掘り起こす。
と言っても、その後の出来事なんて、たった数秒にも満たないもので。



――バチーン!



「思いっきりビンタされた」

「当たり前だろ」

「変態とも言われた」

「当たり前だな」



そうか、あれは言ってはいけない台詞だったのか。
何でも正直に言うことが必ずしも正しいとは限らないんだな。
でも、俺にしてみてもあれは結構ショックが大きかったのだ。
大和撫子だと信じていた人物が、人前でパンツを丸出しにするなんて。



「まぁ、そういうことだよ。女ってのは繊細だから、些細な一言でも傷付くことがある。見たまんま、感じたまんますべてをストレートに口にしていい訳じゃないってことだ」

「なるほど」



パンツ丸出しでも女子は繊細なのか。
思っていた通り、やっぱり佐川は頼りになる。





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あきゅろす。
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