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小説







「サッカーしてる人って、みんなかっこよく見えるよね!」

「分かるー!」



「………」



クラスの女子達の会話を聞き、空手部に出す気満々だった入部届をじっと見つめた中一の春。
気付けば俺は、色とりどりのユニフォームを着た仲間達と共にサッカーボールを蹴っていた。


モテたかったのだ。


だが、現実は厳しい。
いくらあの爽やかなユニフォームを身に纏ったって、俺の外見までが変わる訳ではない。


つまり、全くモテなかった。


それどころか、見事に周りの爽やかイケメン達の引き立て役となり、女子からはチームメイトとの橋渡しを頼まれる日々。
誰々くんに渡してくれる?とラブレターを押し付けられることもしばしば。
結果、俺に付けられたあだ名はポストマン。
……受け取るだけじゃなくきちんと届けていたのだから、せめて郵便屋さんと呼んでもらいたい。


というか、サッカーをしている人間は“みんな”格好良く見えるんじゃなかったのか。
ゴールキーパーというポジションがいけなかったのか?
いや、あれはいわばチームの守護神なのだから、俺としては悔いはないのだが。


高校に入ってからは、モテたい願望はバッサリ捨てた。
女子達の声には耳を塞ぎ、今度こそ部活に選んだのは、幼い頃から嗜んでいた空手道。
中学時代も道場には通っていたが、空手一本でやってきた奴らと比較すれば実力は劣る。
ブランクを取り戻すために、俺は毎日必死になって練習に取り組んだ。





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あきゅろす。
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