小説
3
「心配、してくれてるの…?」
「ち、ちっげーよ!俺はただ、お前が太ったオヤジとかになっちまったら居たたまれないと思って……ッちょ、おい章介…!」
「そっか、嬉しいな」
自分の発言の弁解に必死になっていた彼を、今度は上手く腕の中に納めることが出来た。
「だ、だから違うって…っ」
「ねぇ亮太くん、それは恋人としての心配?それとも……息子として?」
彼は、藤川亮太。
俺の、可愛い恋人。
そして、同時に俺の可愛い息子でもある。
16のとき、俺は、近所に住む水商売風のお姉さんに童貞を奪われた。
驚くことに、彼女はその一回で妊娠。
そして、もちろん産むわと言い張られた。
まだ高校生だった俺は当然結婚なんか出来るはずもなく、彼女は実家に戻って出産。
俺は、彼女の元へ会いに行く暇もない程に、必死になってバイトをした。
彼女のことを好きだった訳ではないけれど(だってそのときが初めての出会いだったのだから)、責任を取るのは当然だと思った。
けれど、たまに連絡を取りながら、高校を卒業して彼女を迎えに行くと……彼女はすでに別の男性と結婚していた。
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