小説
8
モゾモゾと芋虫のように身体を動かし、勢いを付けて上半身を起こす。
手と足が不自由なだけで、こんなにも動きづらいなんて知らなかった。
「で?香山くんはこんなモン付けさせて何がしたいんですか…」
「授業をサボってばかりいるたっちゃんにはお仕置きだ!」
「は?」
「と、言ってみたかった」
「……うん。もう目的果たしたなら外して」
「それは、出来ない相談だ」
「なんで。もう言ったじゃねーかよ、その台詞」
「まだ他にも色々とやりたいことがある」
「……次は何」
「たっちゃんを……押し倒す!」
「はぁ!?…っておい!」
宣言通り、俺は呆気なく香山くんに押し倒された。
身体の下敷きになった腕が痛い。
俺に馬乗りになった香山くんは、ネクタイを付けず第三ボタンまで外している俺のシャツに手をかけ、一気に左右へと引っ張る。
――ブチ、ブチブチッ!
「お、前…っ、何してんだよ!?ボタン吹っ飛んじまったじゃねーか!」
「大丈夫だ。ちゃんと替えは用意している。言っただろう。三日前からの計画だ。抜かりはない」
「…っ、ホントにお前…何するつもりなんだ…」
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