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小説




「あった」

「あ?何が?」



なんだか嬉しそうな顔でこちらを振り向いた香山くん。
トレードマークの眼鏡がキラリと輝いた。
奴の手は身体の後ろに回っていて、どうやら何かを隠し持っているようだ。



「何があったって?」

「たっちゃん、後ろを向いてくれないか」

「何だよ」

「いいからいいから」



香山くんのいつになく楽しげな様子を疑問に思いながらも、言われた通りに背中を向ける。
すると、両腕を腰の後ろ辺りで素早く一まとめにされて――



――ガチャリ



「へ?」

「あ、あと足も」



――ガチャリ



「……何、コレ」

「見ての通り、手錠だ。足に付けたら足錠か?いや、足枷か」

「いや、そういうことじゃなくて…何のために?」

「たっちゃんを拘束するために」

「………はい?」



足を留められているために、ピョコピョコ小さくジャンプするというなんとも間抜けな動きで奴の方に向き直る。
香山くんは大層満足そうな顔をして、俺のことを見つめていた。
そしておもむろにこちらへ近付くと、俺の肩をグイッと下に押しやりしゃがませる。
バランスを崩した俺は、見事背中から床に転がってしまった。


……すげー格好わりぃんだけど。





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あきゅろす。
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