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小説




「たっちゃんがいるんじゃないかと思ってな」

「…たっちゃん言うな」

「いいじゃないか。南ちゃんの気分になれる」

「……俺は甲子園なんかにゃ連れてかねーぞ」

「ん?たっちゃんは野球をしていたのか?」

「いや、だからさ…」



冗談に冗談で返したつもりが通じない。
初めて話したときから思っていたことだが、こいつは相当な変わり者だ。
無表情で俺のことを勝手に「たっちゃん」と呼びやがるし、会話は上手く繋がらないし。


澤木といい、こいつといい、最近の俺は変な奴に懐かれすぎじゃないか?
まあ面白い奴等ではあるから、邪険にする程でもないけれど。
それに、悶々とした今の気持ちを紛らわすには、ちょうどいい話相手だ。



「つーかさ、授業は出なくていいわけ?」

「大丈夫だ。担当の先生には、気分が悪いと言って抜けてきた。前の時間からそれらしいフリもしていたからな。心配には及ばない」

「ああ、そう」

「ちなみに、三日前から暖めていた計画だ」

「はぁ…?」



三日前からの計画?
この時間にサボるために?
なんじゃそりゃ。





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