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小説




そのことを話してくれた兄貴は、何故か顔を真っ赤に染めていた。


なんか、変だ。
初めは、そんな些細な違和感。


あれからイアンさんは頻繁にうちを訪れるようになり、その度になんとも言えないような優しい目で兄貴のことを見つめる。
もちろん俺に対してももの凄く紳士的で優しいが、兄貴に向けるあれは、最近知り合ったばかりの男友達に対するものではないと思った。


まるで、愛しい恋人でも見つめているかのような、その目。
それに加え、さり気なく兄貴の頭を撫でたり、手を握る…というか指を絡めたり、外国人だからという理由だけでは説明出来ないスキンシップが多いような気がした。


やっぱり、変。


ホワイトデーの件からすると、兄貴に想い人がいることは確実。
そして、イアンさんのあの態度。
俺は思い切って、兄貴ではなくイアンさんに直接問い質した。


二人はただの友達か、と。


兄貴に聞いてもきっと動揺するだけで要領の得ない返事しか返ってこないと思ってイアンさんに的を絞ったのに、俺の選択は間違っていたようだ。
もう顔から火を噴いてしまいそうなくらいの、愛の告白。
もちろん、兄貴に対しての。
仕舞には「お兄さんを僕にください」とまで言われて、結果的に、動揺して要領の得ない返答をしたのは俺の方だった。



(なーにが「兄貴を幸せにしてやれるってんならそれで…」だよ、俺…。男が男に嫁ぐってのか?)





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