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小説




俺の兄貴は、大きくも小さくもない普通の企業に勤める、これまた普通のサラリーマンで。
容姿もいたって平凡。
敢えて言うなら、ちょっと背が低い。
あと、童顔。
まるで貶しているようだが、いつも穏やかで優しい兄貴は、密かに俺の自慢だ。


そんな兄貴が、ホワイトデーに半ば俺を脅してまでケーキの作り方を教えてほしいと頼んできたのには驚いた。
しかも、誰に渡すのかと聞いてもなかなか口を割らない。
結局そのときは聞き出すことが出来なかったが、相手が判明するのにそう時間はかからなかった。



(つーか、兄貴は隠してるつもりだったのかもしんねぇけど…)



クラブで知り合った異国の人、イアンさん。
もちろん彼はあそこでは有名人だから、その存在は前々から知っていた。
つーか、憧れていた。
めちゃくちゃ格好良くて優しくて、でもめったにVIPルームからは出て来なくて。
彼見たさにあのクラブに通う奴もいるくらいだ。


そんな人が兄貴みたいな普通のサラリーマンと知り合いだったなんてびっくりしたし、一体いつの間にって思った。
後から聞いてみると、どうやら彼らが知り合ったのは俺がイアンさんに声を掛けられるほんの数時間前の話らしく、しかもそのきっかけは夜遊びしていた俺を一緒に探したことだと言うから、ますます驚きだ。





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あきゅろす。
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