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小説




「わん!わわん!」
(おい、どういうことだ!)

「くぅーん…」
(ど、ういう…?)

「ガウガウ!」
(何も思わねぇのかよ!)

「くぅ?…わんわん!」
(なに、も…?あっ!お幸せ、に…!)



は、はぁ――!?


後ろからやって来たミケが、再び俺に頭を寄せる。
おかしい、やっぱりおかしいぞ。
こんなはずじゃ……



「えっと、篠崎さん…?」

「はぁ、はぁ…、ごめんね?ほらビッグ、ちびを離して?」



俺はご主人に引き起こされ、愛しのちびと離れ離れにされた。
けれど、もう一回飛び付こうという気力は湧いてこない。



「…助かります」

「いえいえ、本当にいつもビッグがごめんね」

「いや、大丈夫、です。じゃあまた…」

「うん、また」



今度こそ本当に去っていくちび。
前足の脇に手を突っ込まれ、後ろ足だけが地面に着いている状態で、俺はようやくこの作戦が失敗したことを悟る。


ミケはそんな俺を気にする様子もなく、俺の後ろ足をいつもより強めにペロペロと舐め続けていた。





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