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小説







――のが約二十分前。


俺は今、ズラッと窓が並ぶ一つの部屋を前にして、ゴンドラの中で悶々としている。
言わずもがな、そこは社長室な訳で。



(カーテン閉めて何してやがんだこんちくしょー!!)



あのときと違って、カーテンとカーテンの間には微塵の隙間もない。
元々開かない構造の窓からは何の音も漏れてこず、それがかえって俺の想像を逞しくする。



(何か大事な会議でもしてるのかもしれない。いや、会議は会議室でやるもんだろ?誰か大事なお客様を呼んでいるのかもしれない。……ってそのお客様は三上さん!?)



考えれば考えるほど、想像は広がっていく。
窓に張り付いていくら目を凝らしてみても、見えるのは重厚な黒いカーテンと反射して映る俺の必死な顔だけ。
「透視能力があったら迷わず女子更衣室を覗いてやる!」と言った友達を鼻で笑ったことがあったけれど、今俺は切実にその能力を欲している。



(なんとか…なんとか中が見えないもんか…!?)



角度を変えたり、少し離れてみたり、無駄だと分かっている行為をひたすら試みる。
向かいのビルからは、俺の滑稽な行動が見えているかもしれない。
滑稽どころか不審すぎて、通報されてしまう可能性だってある。
それでも気になって気になって…もう一度窓に顔を密着させたところで。


カーテンが、揺れた。





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あきゅろす。
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