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小説




身動きが取れないとは言っても、その原因はたかがコーヒーカップ一つ。
背中に手を伸ばすと、コーヒーカップのちょうど把手部分に指先が触れた。



「あ、駄目ですよ」

「…っ」



俺がしようとしていることを察した加納は、伸ばした手を掴み取り、そのまま背中に押し付ける。
結果、俺は残った片手で上半身を支えることになり、ますます不安定な状態になってしまった。



「離せよ…っ」

「離してあげますよ。貴方が従順になったらね」

「今すぐだ!」

「あれ、僕の言ったこと、聞こえませんでしたか?」



ひどく楽しそうな声。
あの優しげな顔にあった柔らかな声だが、この状況ではそれが逆に恐ろしい。



「何をするつもりだ…」

「ああ、言っていませんでしたね。僕は貴方のような男らしい人間を従わせるのが大好きなんです」

「従わせる…?」

「もちろん最終的には心をですが、とりあえずは先に身体から、かな」

「何言って…っ」

「大丈夫ですよ。男は快感に弱い生き物だ。すぐに自分から従いたくなりますよ。…僕とSEXをすれば必ず、ね」





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