小説
6
「あ、あの…?」
「ああ、ほら動いては駄目だと言ったでしょう。本当に零れてしまいますよ」
「あ、すみませ……いや、てかこれを退けてくれればいい話なんじゃ…」
「それは、出来ません」
はっきりと言い切られたかと思うと、腰とケツにまたあの感触。
「動けないようにしているんですから」
「はい…?」
撫でられる感触から、今度は撫で回すと言った方がいいような動きに変わる。
これは、手、だよな…?
「いいお尻をしていますね」
「――っ」
先程から俺の臀部を這い回っていたのは、やはり彼の手だったらしい。
意味の分からない行動に、頭が混乱する。
「ちょっ、何してんですか!」
「貴方のお尻がいやらしく僕を誘うもので」
「さそ…!?そんなこと、する訳ないだろ!」
「誘っていますよ。貴方が動く度にお尻も揺れて、とても素敵な光景でした」
何を言ってるんだ、こいつは…
頭がおかしいんじゃないのか!?
何にしろこのままではマズい。
この男の目的が何なのかは分からないが、身動きの取れない状態のままでは、俺にとって良くないことが起きるということは嫌でも分かった。
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