[携帯モード] [URL送信]

小説




「…っ」



――ゴンッ



反射的に頭を上げた瞬間、低い天井部分で頭を打った。



「いったぁ…」

「大丈夫ですか…?」

「あ…すみません、大丈夫です」



(なんだったんだ、今の…?)



まるで誰かの手に撫でられたような感覚だった。
けれど、ここには自分以外は依頼主の彼しかいないし、そんなはずはない。
ただの気のせいかと思い直し、もう一度頭を奥に突っ込むと、今度は確かにすぐ後ろから加納さんの声がした。



「コーヒーが出来たので、ここに置いておきますね」

「あ、ありがとうございま、す……?」



背中に、何か暖かい物が触れているような気がする。
何やら、硬くて小さなもの。
気になって上半身を外に出そうとすると――



「あ、動くと危ないですよ。まだ熱いですから、零れたら火傷してしまいます」

「は…?」



言葉から察すると、俺の背中に乗っているのは彼が入れてくれたコーヒーなのだろうか。
だが、何故そんなことをするのか分からない。
冗談を言ったりしたりするようなタイプには見えないんだが…





[前へ][次へ]

6/36ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!