小説 1 ピザが、好きだ。 三日に一度はデリバリーを頼んでしまうくらいに。 いつも頼む店は一軒に決めていたが、ある日、なんとなく普段とは違う店で注文してみたときに、俺は運命の再会を果たした。 ますます、ピザが好きになった。 ――ピンポーン 「あ…」 来た。 俺は慌ててインターホンに出る。 「はい」 「……ピッツァ・石の窯です」 「ふふ、はい、どうぞ。今開けるね」 TV付きインターホンから見える、不機嫌そうな顔のピザ屋の店員さん。 それに笑顔を零しつつ、共同エントランスのオートロックを解除する。 それから、約二分。 今度は自分の部屋の玄関前で鳴らされたインターホンの音に、確認をすることもなく鍵を開けた。 ――ガチャ 「お疲れ様、亮太く――」 「おい章介!もうこんなもん頼むなって言っただろ!」 扉が開いた瞬間に怒鳴り込んできたのは、先程物凄く不本意そうな表情でモニターに映っていたピザ屋の少年。 小さな身体をピザ屋のカラフルな制服に包み、両手でピザの入った平たい箱を抱えている。 彼は、藤川亮太。 俺の、可愛い恋人だ。 そして―― [前へ][次へ] [戻る] |