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小説







「ふー…」



館内に戻り、少し歩いたところにあるトイレ。
これから始まるのは本日最終のショーともあって、客はほとんど全員がそれを見に行っているのか、辺りには全く人気がない。



「なんか…落ち着かねぇなここ」



高速のサービスエリアやガソリンスタンドの汚いトイレに慣れている俺にとっては、ここの広々として綺麗すぎるトイレには少々違和感を感じる。
綺麗に越したことはないが、慣れとは恐ろしいもんだ。



(そういや昔は、よくトイレに男連れ込んでたよな…)



仕事で時間が空いたときは即発展場だったが、そうもいかないときにはトイレの個室が俺の盛り場だった。
適当な奴を引っ掛けて、俺のポリシー通り指でイかなかった奴だけを抱く。
その頃から考えれば、今の相手が雅一人であるということは、驚くべき状況だ。



(…あいつとも、結構ご無沙汰だな…)



起きてすぐは疲れすぎていて無理だと思ったが、今夜辺りならいけるかもしれない。
そんなことを考えていると、コツコツと足音が聞こえてきて、トイレに誰かが入って来るのが分かった。


チラッと横を見ると、入り口に立っていたのは雅。





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