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小説




比較的新しいこの水族館の屋外のショー会場は、すでに人で溢れていた。
どうやらこのナイトショーは人気があるらしい。
俺達は端の方に空いている席を見付け、そこに腰を落ち着ける。



「イルカ、楽しみだね」

「あー…そうだな」



俺は正直、イルカよりもそれを見てはしゃぐこいつを見ていた方が楽しい。
普段ただ生活しているときともセックスのときとも違うこいつを見れるのは、なかなかに新鮮だ。



『皆さーん、こんばんはー!あと五分程でイルカのナイトショーが始まります!盛大な拍手でお迎えくださいね!』



妙にテンションの高い姉ちゃんがステージ脇に登場し、まもなくショーが始まることを告げる。
周りの観客達も、今か今かと待ちわびているようだ。



(あと五分か…)



「わりぃ、俺トイレ」



実は、さっきからずっと我慢していたのだ。
五分もあれば、余裕で戻って来れるだろう。
俺は雅に軽く断って席を立つ。



そのとき俺は、雅の表情なんてまともに見ちゃいなかったし、ましてや奴が何を思っていたかなんて、想像してもいなかった。





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