[携帯モード] [URL送信]

小説




「三上さん!俺、こう見えて料理得意なんです!」



突然そう口にした俺を、三上さんは不審そうな目で見やる。



「えっとだからその……俺が三上さんの分の弁当も作ります!」

「は…?」

「ほら、見てください!実はこれも俺の手作りで…!前に居酒屋でバイトしてたことがあって、その時もキッチンで結構評判よくて…って三上さん…?」



必死になって説明していると、彼の手が俺の弁当に伸びてきて、その男とは思えないほど細くて綺麗な指が唐揚げをつまんだ。
そのままそれは、彼の口の中に運ばれる。



「あの…」

「……美味いな」

「…ッで、でしょ!唐揚げは特に自信があるんです!」



彼から誉め言葉を貰えたことに、俺の気持ちは昂揚する。
三上さんが何かを誉めるなんて、滅多にあることではないと思うから。



「じゃあ次から弁当作ってきます!毎日は無理だけど、ここで仕事があるときは絶対に!」

「…ああ」



なんだろう。
凄く嬉しい。


正直、受け入れてくれるとは思っていなかった。
数あるおかずの中で一番に唐揚げを選んだってことは、三上さんは唐揚げが好きなのかな…?


初回の弁当にはたくさん唐揚げを入れてあげようと、こっそり思った。





[前へ][次へ]

6/58ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!