[携帯モード] [URL送信]

小説




しまった。
折角あの三上さんが話を聞こうとしてくれているのに、それこそこれは口実だ。


能天気な俺に、特に悩みはない。
強いて挙げるなら、彼との関係くらいなもので…
彼に相談するような内容ではないことは確実だった。



「あーえっと…とりあえず、飯食いましょう…!」



誤魔化すように素早く弁当を広げ、いただきますと手を合わせる。
その様子を呆れたように見ていた彼も、渋々自分の昼飯を取り出した。



(良かった、まだここにいてくれるんだ…)



ホッと息を吐き出す。
だがそれと同時に、俺の目には物凄く気になるものが映った。



「あの、三上さん…昼、それだけっすか…?」



彼の手元にあるのは、近くのパン屋で売られているサンドイッチ一つ。
どう見ても一般的な成人男性の昼飯ではない。



「これで十分だ」

「え、もしかして毎日それだけっすか!?そんなんじゃ身体保たないですよ!あ…もしかして、お金がない、とか…?」



途端、ギロッと睨まれた。



「す、すみません…」

「……時間がないだけだ。買いに行った分、食べる時間がなくなる」

「あ、なるほど…」



(でもそれって、時間さえあればもっと食いたいってことだよな)



そう思いつつ、綺麗にサンドイッチを食べてゆく彼を見ていると、ふと俺の頭に一つのアイディアが思い浮かんだ。





[前へ][次へ]

5/58ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!