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小説




「今井!」



後ろから、声がかかる。
それは今まさに頭の中で考えていた人物のもので、反射的に立ち止まってしまった。



「はぁ…お前、歩くの速すぎ」



なんで、普通に話し掛けてくるんだ?
俺はお前の昨日の行為のせいで、こんなに悩んでいるというのに。


何故、急に付き合い始めた?
昨日のあれは、一体なんだったんだ。



「……お前のことが、理解できない」

「え…?」

「え、じゃないだろ!?なんで何もなかったような顔してんだ!なんで普通に話し掛けてくるんだよ!」

「いま…」

「頭の中がぐちゃぐちゃだ…っ」

「………」

「何とか言えよ…!」



沈黙が降りる。
遠くに聞こえる学生達の声が、やけに耳につく。



「………ちょっと、からかってみただけだよ」

「は…?」

「ほら、お前綺麗な顔してるしさ。濡れた髪が色っぽいなって前から思って――」



――パシンッ!



「…っ」

「最低だな、お前」

「………」

「見損なったよ。お前なんかをライバルだと思ってた自分が馬鹿みたいだ」





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あきゅろす。
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