小説
2
「わんわん!わわん!」
(お前、抜け出すのはダメって言ったじゃんか!また迷子になったら大変だろ!)
「にゃん?」
「………」
残念ながら、犬と猫の違いのせいか、俺達は言葉が通じない。
だが、言葉の壁はあっても、ゴロゴロと喉を鳴らしながら擦り寄ってくるこいつは結構可愛い。
なんだか妹が出来たようで気分もいい。
さっきの話に戻るけれど、俺の作戦にはミケにも協力してもらうことになる。
その名も『押して駄目なら引いてみろ!このままじゃ俺に彼女が出来ちまうぞ!』作戦。
つまり、俺がミケと仲良くしているところを目撃させて、ちびを焦らせてやろうという寸法だ。
うん、我ながらいい作戦。
「ビッグ、おはよう」
俺が自分の計画に酔っていると、俺達の前に一人の人間が現れた。
「あ、ミケも来てたんだね。飼い主さん、心配してないかな」
爽やかな笑顔を撒き散らすのは、俺の飼い主様。
俺はご主人と呼んでいる。
作戦を遂行するためには、最近散歩の時間を朝に変えたちびと同じ時間に、俺も散歩をしなくてはならない。
まずはご主人への散歩の催促から開始だ。
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