小説
8
「和広くん…っ、急にどうしたの…?」
橘さんが不安そうに潤んだ目で俺を見上げてくる。
いつもなら鼻血もののその表情だが、今は身体中の血がアソコに集まっているために、鼻まで回る余裕はないみたいだ。
「なんか俺、変で…っ」
「え…?」
「ほら、これ分かるでしょ…?」
俺はその言葉と共に、すでに完勃ちになっている自身を彼の太腿に押し付ける。
「あ…」
目を見開いて、俺を凝視する橘さん。
俺はというと、彼の柔らかい太腿に自身が擦れる感覚が堪らなくて、必死になって腰を前後に動かしていた。
「はぁ…はぁ…!」
「和広、くん…なんで…?」
なんでって、俺にだって分からないよ…
正確に言えば、半分は分かるけれど、あとの半分は分からない。
あんなに何度もマグカップを確認したというのに、お馬鹿な俺は一体どこで間違えたんだ?
ああ、とにかくミステイク…!
だけど当然そんなことを言えるはずもなくて…
「分かん、ない…っ」
俺は初めて、橘さんに嘘を吐いてしまった。
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