小説
6
あれから三十分。
コーヒーをすべて飲み干してテレビを見ている彼に、特に変化は見られない。
(おかしいなぁ…説明書には速効性って書いてあったのに)
けれど速効性とはいっても、実際どのくらいの時間で効果が現れるのかなんて俺には分からない。
もう少し待ってみることにして、俺も彼の見つめるテレビに目を向けた。
そして、一時間後。
「なんか、この部屋暑くないですか…?」
「そう?ちょっと窓開ける?」
「いや、大丈夫です!」
暑くもない橘さんが、外の空気で身体を冷やしてしまってはいけない。
それに暑いといってもそれは夏に感じる蒸し暑さのようなものではなく、身体の中がカーッとするような、熱が集まるような、そんな感じのもので――
って
(熱が集まってますけどー!?)
ふと視線を下にやると、そこにあったのは熱を持って見事に勃ち上がっている俺の息子。
(な、なんで!?)
こんな風になるのは橘さんのはずじゃ…
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