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小説







橘さんが作ってくれた俺の大好物の和風ハンバーグを食べ終わり、今は二人並んでソファーに座りテレビを見ているところ。


よし、今だ。




「た、橘さん!コーヒー飲みませんか?おお俺、おいしい豆見つけたんです…ッ!」


「んー…じゃあいただこうかな」




その返事を聞くなり、俺は早足でキッチンへと向かった。




(今の、変じゃなかったよな…?ごく自然な流れだよね…?)




俺は隠し事や嘘を吐くことが大の苦手なので、これから自分がしようとしていることも上手くいくのか心配で仕方ない。


けれど会社では、男同士で付き合っているということで彼が変な目で見られることを防ぐため、俺達の関係は秘密にしていて、それは今までなんとか隠してやってこれた。




(だから今回だってきっと大丈夫…!)




俺は自分に気合いを入れ直すと、コーヒー豆を挽き、フィルターをセットしてゆっくりとお湯を回し入れた。


そうして出来上がった二つのコーヒー。


ちらりと橘さんの様子を伺うと、どうやらテレビドラマに熱中しているらしくこちらを気にする素振りはない。


……なんか寂しい。


ってそうじゃなくて!


俺はズボンのポケットに忍ばせておいた小瓶を取り出すと、片方のマグカップにそっとその中身を注ぎ入れた。





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