小説
1
――ジャー
――キュッキュッ!
「はい、これでもう大丈夫です!古くなった部分は取り替えておきましたので」
「ありがとう。助かったわ」
俺の仕事は、トイレや排水溝の詰まりから、防犯用の鍵の取り付けなんてものまで請け負う、いわゆる家庭内のなんでも屋だ。
勤務している会社のキャッチフレーズは「暮らしのトラブル一発解決!」
小さいながらも依頼はなかなか多く、今の家で本日四件目の仕事だった。
(はぁ、疲れた……でもこれで今日は終わりだ)
依頼者宅を出て、玄関前に停めておいたワゴンに乗り込み一息吐いていると、ふいに仕事用の携帯が鳴った。
ディスプレイには、会社と表示されている。
――ピッ
「はい、池沢です」
「あ、池沢くん。水道管の修理終わった?」
「はい、たった今終えたところですけど…」
「実はもう一件依頼が入ってしまってね。ちょうど同じ水周りのトラブルだし、池沢くんが今いる所からも近い場所だから、出来れば君に行ってもらいたいんだけど、大丈夫かい?」
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