小説 3 そうして辿り着いたこの場所。 確かに俺のような人間が来る場所じゃないみたいだ。 先程から周りにいる派手な格好をした人達にジロジロと見られていて、なんとも居心地が悪い。 (流石にスーツはまずかったかな…) 母親が部屋に来たとき、残業から帰ってきたばかりだった俺は、ただ友達の家に迎えに行くだけのつもりだったので着替えもせずに家を出てきた。 ここの入り口でも止められはしたが、すぐに帰るからと半ば無理矢理に中へと入ってきたのだ。 (まぁ今更だし…とにかく今は達也だ) ここに来る途中、達也に電話をかけてはみたが、俺からだと分かっているせいか出てくれることはなかった。 物珍しさにキョロキョロとしながらも、達也の姿を探す。 だが、何分人が多くて、そう簡単に探し人が見つかるわけもない。 とりあえず誰かに聞くのが一番かと、俺は近くにいた青年に声をかけてみた。 「あの…!達也って子知りませんか!?背はこのくらいで、髪は少し長めで」 「はぁ?うっせーよオッサン!」 ……撃沈。 (おっさんって…俺まだ28なのに…。童顔だから言われたことなかった…) 一人目にして早くも気持ちを折られていると、突然後ろからトントンと肩を叩かれた。 「お兄サン、どうかしましたか?誰か探してるの?」 [前へ][次へ] [戻る] |