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小説







「びっくりした…。俺の部屋の鍵って言われたんだからここは俺の部屋のはずで、でもここには安藤さんが住んでいて…。わけが分からなくなって、外で待ってた…」


「驚かせたくて、黙ってたんだ。


一緒に、暮らしてくれるか?」




その瞬間、大輝は強い力で安藤を抱き寄せた。




「夢、みたいだ…」


「大輝?」


「あんたと、外で会えるだけでも嬉しいのに、一緒に暮らせるなんて」


「……俺も、嬉しい」




安藤を抱き締める大輝の腕は、僅かに震えている。


それに気付いて穏やかな笑みを浮かべた安藤は、大輝からゆっくりと身体を離すと、少し背伸びをして軽いキスを送った。




「…っ!」




慌てたように一歩後ろに下がった大輝は、耳まで真っ赤だ。


自分からは頻繁にキスを仕掛けるくせに、されるとなると急に恥ずかしがる大輝が、安藤には愛しくて堪らない。




「い、いきなりは、反則だ…っ!」


「ははっ!ごめんごめん。…なぁところでさ、明日、どっか出掛けないか」


「…っ!うん」


「よし、決まり!どこに行きたい?お前の出所祝いでもあるんだから、好きなところ言えよ」


「……じゃあ、映画館…」


「映画?お祝いなのに?」


「……普通の事が、したいんだ。皆が普通にしている事」


「…うん、分かった!じゃあ何を見るかは中で決めよう。ほら、早く家入るぞ」




大輝の手を自然に掴んで家の中へと入っていく安藤。


その後ろ姿を見ながら、大輝は幸せを噛み締めていた。





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あきゅろす。
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