小説 2 朝一番からのバイトはパチンコ屋の店員。 仕事は忙しいが、なかなか時給がいい。 変な客に絡まれたときの対処法もすでに覚えた。 夕方からは知り合いの紹介で始めたバーで働いて、それが終わると今度は道路工事の現場で交通整理をする。 結果、帰りはいつも朝方近く。 睡眠時間は一日三、四時間程度。 さすがにそれが毎日続くと身体を壊すので、週に一回土曜日だけは何もバイトを入れない日を作っていた。 「お疲れさまでした」 「おうお疲れー!お前働きすぎなんだから、明日の休みくらいゆっくりしろよ?」 「あ、はい、どうも…」 現場の先輩に挨拶をして、帰路に着く。 暗い夜道に吹く秋の気配を感じさせる涼しい風が、疲れた身体に心地いい。 家に着いたら早々にスエットに着替え、そのまま倒れこむようにしてベッドに横になった。 ――ほんと、疲れた… しばらく目を閉じたままぼーっとする。 目を閉じると浮かんでくるのは一つの光景で… また俺の手は自然と自身に伸びていた。 [前へ][次へ] [戻る] |