小説 6 「……本当に、ちび?」 「…っうん!うん!」 「なんで、人間…?」 「…分かん、ない…起きたら、こう、なってて…!まさゆきに、嫌われる、嫌だったから、隠れ、てた…」 ……あれは隠れてたのか。 それにしても、これからどうしたものか。 うーん。 「……とりあえず、座れ」 「わん!」 ……うん、やっぱりコイツはちびだ。 色々なことを質問してみたが、ちびがたどたどしい口調で答えるのは「朝起きたらこうなっていた」ということだけ。 本人(本犬?)にも理由は全く分からないらしい。 これ以上聞いても特に得られるものはなさそうだったので、とりあえず大学に行くことにした。 帰りに服でも買ってきてやろう。 いつまでもあの格好でいられると、ちょっと俺のプライドが傷つく。 「じゃあ、行ってくる」 「う、ん…」 「……いい子に、してろよ?なるべく早く、帰ってくる」 淋しそうなちびが少し可哀相になったので、そう約束してから背伸びをして頭をポンポンとたたいてやる。 するとちびは 「わん!」 と、先程と同じようにいい子の返事をした。 それに安心して、俺はようやく大学へと向かうことが出来たのだった。 [前へ][次へ] [戻る] |