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小説




「…ちび、どこ?」


「お、れ」




だから、お前は小さくはない。




「…犬の、ちび」


「おれ、ちび…」




お前が、ちび……


コイツがちびを逃がしたってことか?




「…ちび、どこ行った?」


「こ、こ」




……会話が成り立たない。


部屋の中にはいないようだから、外に出て行ったに違いない。


俺は探しに行こうと、とりあえず上着を手に取って玄関へと向かおうとした。




――ガシッ




「どこ、いくの…?」




歩きだした瞬間、なぜか男に腕を掴まれた。


離せよ。

俺はちびを探しに行くんだ。




「おさん、ぽ…?」




俺が目で訴えていると、男が急に目をキラキラさせてそう口にした。


だから、俺はちびを探しに…




「待って、て」




男はそう言ったかと思うと突然走りだし、玄関に置いてあったちびの散歩用のリードを持ってきて嬉しそうに俺に差し出した。


だから、その散歩をするちびがいないんだよ。




「はやく、行こっ!」




男がわくわくした様子で俺のリードを持つ手を掴み、自分の首輪へと触れさせた。




……首輪?





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