2.
黙々と飯を食う私の横で、個性派集団が私のケータイに群がる。制服のポッケに入れておいたそれは、まんまと眼鏡に盗られた。こいつらには[デリカシー]というものがないのか。しかし奴らは私のことなんてお構いなしに個人情報をあさっている
「おい忍足!俺様にも早く貸せ!」
「今、赤外線中やねん。ちょっと待ってや」
「僕にも貸して下さい!」
「…宍戸先輩、顔真っ赤ですよ」
「なっ!うるせぇ日吉」
「次、僕だC〜!」
「クソクソ侑士!早くしろよ!」
「ウスッ」
そんなにメアドが欲しいのかと、弁当のグラタンを頬張りながら思っていると、聞き覚えのある音が部室に流れる
「高橋さーん。なんか電話鳴ってんでー」
「<彰>って人からみたいですね」
なーんだ、彰かよ…
って彰!!!!!!???????
「もしも〜し」
って、出るんじゃねぇ!!!!!!!
羊が持っている私のケータイを取り上げるため、急いで机を乗り上げ奴らの元へと向かう。しかし、電話から聞こえてくる馬鹿でかい声は、私を待ってくれなかった
<麗さーん!!!何で電話でてくれないんっスかー!?!?俺、寂しいっスよー!!!!>
<おい亮太!また俺のケータイで麗さんに電話してるな!あ゛ぁ!?>
<彰!うっせぇ!
もしかして、麗さん俺のことなんか、どうでもよくなっちゃったんですか!?!?俺は麗さんのこと今でも大好きっ…プーップーップーップーッ…>
羊からケータイを奪うと、電源ボタンを連打し強制終了させた。いやなフレーズで終わってしまってしまい、亮太の奴!と心の中で悪態づく。しかも、いきなり迷惑集団は顔をこわばらせながら私に詰め寄ってきた
「おい、高橋…彰と亮太って誰だ?アーン!?」
「いやっそのー…」
「自分のこと、[麗]って名前でよんでたよなぁ。」
「どういう関係なんですか?」
「とくになにも…」
「…電話にでないって、いつも電話してるんですね」
「そんなのしてない…」
「大好きって言ってたC〜」
「…激ダサだぜ」
「ウッス」
「だから…」
「あいつお前の彼氏なのかよ!クソクソ!」
「いや、そうじゃなくて…」
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