2.
家の前に着くと、和弥が玄関の門の周りを鼻歌を歌いながら掃いていた
「あっお嬢!おかえりなさい!」
そういって私に一礼をする
和弥が付けていたエプロンが様になっていて、心の中で笑いながら、その場を通り過ぎようとした。が、親父が目の前に立っていて私の前をふさいだ
「麗…ついて来い」
あー親父にまた、怒られる
学校帰ってくると、いつも舎弟達が「おかえりなさい!」と言ってくるのに、今日は親父の威圧感で何も言えないのか、玄関がやけに静かだった
「麗、今日学校でなにがあったか、言ってみろ」
「…」
「麗!」
「…学校の奴らに喧嘩売られた」
「で、どうなった」
「…退学」
その言葉を言った瞬間、心臓が締め付けられて、苦しくなった
「今回の退学は、何回目だ」
「5」
「喧嘩はもうしないと、約束したはずだ」
約束や掟は破るためにあるんだと、言いがかりを思いつくもそれを口に出さずに、私は心の中に閉まっておく
「はあ…麗…。お前を何回も裏口入学させることはできない。黒井に頼んで新しい学校を探してみるが、これで最後だ」
最後…さすがに高校は卒業しねぇと私の将来が危うい。というか、家継ぐ気はねぇし、高校卒業したら家を出てくつもりだ
そう思いながら自分の将来について思い悩んでいると、上からドンドンと音がして、私の兄貴である真喜男が現れる
「麗!お前また退学くらったのか!?」
退学…いつ聞いても嫌な響きだ
「うっせーな…」
真喜男と絡むと体力を吸い取られるため、私は自室へと向かうべく、大広間の階段を目指すが、
「喧嘩か?…」
その一言で、私の足が自然と止まった
喧嘩のなにが悪い。売られた喧嘩を買ってなにが悪い。真喜男だって前してたじゃねぇか。いったい何が違うって言うんだ
「…麗」
いつの間にか真喜男の横にもう一人の兄貴[美喜男]、和弥、黒井、そして舎弟達もいて、みんな悲しそうな目をしているのが見える
みんなに同情されてるのか?そう思うとイライラがこみ上げてきて、こいつらが酷く醜く見えた
どうせこいつらも、心の中では私のことを笑ってるんだ
「もう、ほっといてくれ…」
私は止まっていた足を動かし部屋に入ると鍵を閉めて、ベッドへと倒れこむ
途中、私を呼ぶ声が何度も聞こえたが、気にもとめなかった
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