3. 「麗ちゃん。なんでさっきの時間おらんかったん?」 「え?」 部活開始15分前。ドリンクやタオルなどを準備していると、いきなり忍足が話しかけてきた 「僕とお昼寝してたんだC〜!」 「えー!俺も誘ってやー!」 「アーン!?」 芥川に「てめぇは寝過ぎだ!」と怒りをぶつける跡部。そこに日吉、鳳、樺地も集まってきて自然と輪ができる 「…そういえば、宍戸先輩と向日先輩がいませんね」 「ウッス!」 「あれ?僕さっき自販機の所で見ましたよ?…あ!宍戸先輩ー!!!!」 そういって、鳳が大きく手をふった先を見ると、向日と宍戸がこちらに向かってきた。しかも、奴らは飲み物の取り合いをしていて(向日が一方的だが)、少し危ない匂いが漂う 「おい!俺のだぞ!」 「一口ぐらいいいじゃんかよー!!…あ!」 私の予想はまんまと当たり、飲料水の缶は空中に浮いた。初速をつけたそれは私たちの方へと徐々に向かってくる。バシャン!と嫌な音がして、横を見ると、あの俺様野郎の髪からコーラと思われる茶色の液体がポタポタと落ちていた 「あちゃー」 「おっ俺じゃねぇからな!宍戸がやったんだぜ!」 「なっ!ちげぇよ!」 「あっ跡部先輩!」 「おい…、宍戸、向日…。てめぇら…ただじゃおかねぇ!!!!」 「跡部〜落ち着いて〜!!」 「シャワー浴びたらなんとかなるで!!」 「俺!タオル持ってきますから!だから跡部先輩、落ち着いて下さい!!」 「ウッス!!」 「うるせぇ!!!!」 宍戸と向日がガタガタと震え、怒り狂う跡部を他の奴らが必死で抑えようとしている この光景どこかで見たことある …ああ、そうだ。昔、真喜男のプリンを食べて、あいつに追いかけ回された時だ。和弥達が必死に止めて、兄さんが私のことを庇って…。こいつら 同じことしてやがる 「フッ」 「あーーーーーー!!!!」 「アーン!?いきなりなんだよ次郎!!!」 「麗ちゃん!!!今笑ってたC〜!!!!!」 「ははっ」 「「「っ!!!!」」」 「あっ!また笑った!!」 そう興奮気味にいう芥川に、思わず笑ってしまった。芥川も笑い、つられてみんなが笑う。端からみれば気味が悪いよな、なんて思いながらも、私は一緒に笑っていた。 忘れていた、封印されていた私の[笑顔]。こうも簡単に出てしまうなんて、こいつらにはいったい、どんな力があるのだろうか。私が今笑っているのは、芥川が言っていた[仲間]や[幸せ]のせいだからなのだろうか。そんなことが私の頭の中を支配する。でも今は ただ笑っていたい そう純粋に思った。 だって、[笑う]ことに理屈なんてない。そんな気がしたから (…って宍戸、向日。笑って誤魔化せると思うなよ) ((ギクッ!)) (校庭20周走ってこい!) ((っえ…)) (アーン!?なんか文句あんのかよ?) ((はっ走ってきます!!))(あははっ) (麗ちゃん、笑った方が可愛いC〜) ← |