1.
あの入れ墨事件があった日以来、麗さんは本当に変わった。それが現れたのは、事件から1週間も経ってなない、ある日のことで…
「お嬢!お帰りなさ…ってどうしたんですか!?」
いつものように、門の前を掃いてると、麗さんが学校から帰ってきた
血だらけになって
麗さんの制服は真っ赤に染まっていて、肌にも所々染みが付いている。こんな麗さんを見たのは初めてだった
「お嬢!大丈夫っスか!
あっ兄貴ー!」
俺は、どう対処していいか分からなくて、助けを呼ぶ。でも、麗さんはそのままスタスタと玄関に向かっていった
その姿を見た兄貴達も目を見開き「お嬢!」と呼び止める。しかし、それに見向きもせず、麗さんは居間に入っていった
「麗、おかえ…!!!!!!」
「おー麗、てめぇ今日は遅かった…!麗!!!!!!」
「麗どうしたの!?大丈夫っ!?」
「おい、麗!誰にやられた!?言え!!!」
「…やられてねぇよ」
「「「は?」」」
「やられたんじゃなくて、やったんだよ。で、これはそん時の返り血」
「!!」
「…なんだと!?」
そのまま部屋と姿を消す麗さんには、優しさや、明るさの欠片も残っていなかった。その数分後、俺達は麗さんが退学になったのを知ることになる
あれから、麗さんは毎日血だらけで帰って来るようになった。退学もくらい、喜一さんが裏で手を回してそれをもみ消す。その追いかけっこが計4回も続いた
もう、前の麗さんを取り戻すことは出来ないのかと思っていた矢先、お嬢の喧嘩がピタリと止まる
あの喜一さんでさえも、今回ばかりは理由が分からなくて、俺達は不思議に思っていたが、ある日お嬢のダチが訪ねてきたことによってその謎は解明された
「すいませ〜ん。あの〜麗さんっていらっしゃいますか?」
「あ゛!?てめぇらお嬢に何のようだよ!」
「っいっいや…僕らは決して怪しいもんじゃなく…」
「てめぇが言う[お嬢]のダチだよ」
「ダチ?」
こいつら何言ってるんだ?そう思ってると後ろからお嬢の澄んだ声が聞こえてきた
「てってめぇら!こんなところで何してやがる!」
「あっ麗さ〜ん!」
自称[ダチ]の1人が麗さんに抱きついて、頬にチューをする。思わず俺の口は大きく開いてしまった
「だー!だから毎回毎回やめろって!」
「え〜!いいじゃないっスか〜」
「麗さん!すいません!俺は止めた方がいいって止めたんですけど!」
「よっ麗」
「麗!うっせーから静かにしろ…ってそいつら誰だ?」
「えっ何々?どうしたの?」
仕舞には真喜男さんや美喜男さんまで出てきて(喜一さんはたまたま外出中だったが)、俺達は一旦、客間へと移動した
「俺!清水亮太っス!生の真喜男さんに会えるなんて歓迎っスよ〜!」
「おい亮太!余計なこと言うな!いきなりすいません!俺、成宮彰っていいます!で、コイツが…」
「…矢吹章司」
こいつらの第一印象:
亮太=チャラい
彰=見かけによらず礼儀正しい
章司=何考えてるかわかんねぇ
とまぁこうゆう感じで、ほんとに麗さんのダチなのかと疑ってしまったが
「こいつら…私の仲間だから…」
麗さんその一言で、「あぁ、やっぱりそうなのか」と理解した
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