1.
こんなこと、私[榊 麗]にとって前代未聞だ
「あんた、ムカつくんだよ!」
「ブスの癖に調子のるんじゃねぇよ!」
いや、今は[高橋 麗]だから関係ねぇんじゃねぇかと、少し悩んでみるが…
「跡部様に近づいて…ほんとムカつくんですけどぉ。死ね!」
どっちにせよ…腹が立つ!
「おい!何とか言えよ!」
「用はそれだけですか?…早く教室に戻りたいんですが」
「は!?」
「こいつ、なめた口利きやがって!」
乾いた音が一瞬、中庭のに響く。視界が歪んで顔を横に背けると、私の左頬は熱を持っていて、ジンジンとした。眼鏡のズレを直し、私はその女を見る
「もうこれ以上、テニス部に近づかないで!」
あ゛ぁ!?別に近づこうなんて思ったことは一度もねぇし?向こうが(特にジャイアンが)引っ付いてくるだけだ。なのになんでこんな奴に叩かれなきゃいけねぇんだよ!
「別に跡部様達は、あんたみたいな奴のことどうも思ってないしぃ〜」
「そうよ!ただあんたが珍しいだけで、すぐ捨てられるんだから!」
<近親者は己の敵>
うるせぇ
<麗…お前の父親も、兄弟も、舎弟達も、母親も…仲間と思ってる奴は全員お前の敵だ>
そんなこと、とっくの昔から知ってる
<誰ひとりとしてお前を気にしちゃいないし、信頼などしておらん>
だから黙れじじい!!!
私はバッ!と握り締めた拳を上に上げると、それと同時に授業の予鈴が学校に響く。
「うそ!もうそんな時間!?」
「いやだぁ。遅刻しちゃぁう!」
「もう次はないから!二度テニス部に近づかないで!!…いこっ」
→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!