3.
「お嬢、車に乗って下さい」
「…」
「…お嬢…」
「おい、眞樹、和弥…早く車乗れ」
「アニキ!」
「…それが、お嬢が…」
「あ゛?あいつ、母親の葬式に出ないつもりかよ…おい麗!」
「…」
「早く来い!」
「…かあ…んは…」
「ん?」
「母さんは死んでねぇ…絶対帰って来る」
「…麗…」
「死んでなんかねぇ!」
「麗、母さんは死んだんだ。受け入れろ」
「嘘だ!そんなの嘘だ!みんな嘘付きだ!」
「じゃあ、そこで留守番しとけ!…眞樹、和弥、行くぞ」
「アニキ!」
「しっしかし…」
「あいつには何言っても無駄だ。ほら、遅刻するぞ」
「っはい…」
「…分かりやした」
俺達は真喜男さんのつらそうな背に、ただただ付いていった
この時からもう、お嬢の歯車は狂いだしていたんだと思う
「お嬢!お帰りなさい!」
いつもの日課
「あぁ、和弥…ただいま」
でも、お嬢は悲しく笑うだけ
お嬢は家の中でも口数が減った。そして、毎日つらそうな目をしてつらそうな目で笑う。真喜男さんとも喧嘩をしなくなり、真喜男さん、美喜男さん、そして喜一さんも、すごい悲しそうだった。
だから、元気を取り戻そうと俺達全員で[麗復活☆楽しいなパーティー]をお嬢の誕生日に企画した。もちろん命名は真喜男さんだ。
みんなでケーキや食事を作って、プレゼントも用意して、お嬢の帰りをひたすら待った
待ちきれなくて、みんな玄関で並んでたぐらいだ!
でも…
「おせぇ」
いつもお嬢が帰宅する時間が、1時間経っても
「遅いね」
2時間経っても
「…」
3時間経っても帰って来なくて
「おっお嬢!」
「「「お帰りなさい!」」」
4時間後にようやく帰ってきた
「おい麗!てめぇどこほっつき歩いてたんだよ!」
「まぁ、真喜男落ち着け。先に麗の誕生日を始めてから聞こうじゃないか」
「父さんの言うとうりだよ、真喜男」
「ッチ!」
「っせーの!」
「「「お嬢!お誕生日おめでとうございまーす!」」」
「麗、おめでとう」
「おめでと!麗」
「…まぁ…おめでと」
←→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!