窒息してしまう
空が青い。
雲ひとつない、綺麗な青。
まるで、吸い込まれそうだ……そんな錯覚さえ感じずにはいられない。
俺はこんなことを考えていたんだが、俺と同じく、授業をさぼったコイツはさっきから何をやっているんだ?
「あーーーーーーーーーーーー」
「………」
「あーーーーぁーーーー−−−−」
「……」
「ぁ−−−−…がはっ!ゲホッゴホ!もう、む、無理ィ…」
「…お前、さっきから何やってんだ」
「へ?空が青くて綺麗だなーって見とれてたんだよ。ちなみに俺の息がどこまで続くか挑戦してみたんだー」
とカラカラ笑いながら言う、この能天気馬鹿。
一緒にいて、楽だし、楽だし、…楽だから一緒にいるんだけど、
たまに…言動がよく分からん。
「自分で息吐き続ければ、そりゃあ自ら窒息を招いていることと同じだろうが」
「まぁーねー。あ!でも俺自殺願望者じゃないからね!心配しないで!俺、死ぬ時はお前の下だか「殴るぞテメェ」
はい…ごめんなさい…と謝る能天気馬鹿。
図体でかいくせに、しゅんとなる姿が、大型犬に見えてしょうがない。
可愛いな、こいつ。
馬鹿で本当に。
なんて思っても、本人には絶対に言ってやらん。
絶対に。
俺がかすかに笑ってるのを見て、そんなに怒っていないことに安心したのか、あのね、と話を切り出してきた。
「空ってさ、毎日毎日同じ色じゃないじゃん?」
「まぁ、そりゃあそうだ」
「だからさ、昨日見た空の色も、今日見た空の色も、明日見る空の色も全部違うってことじゃん。微妙な違いでも」
「まぁな」
「つまり、今日の空のこの青さは今日しか見れないわけじゃん!」
「うん」
「だからね…そんな今日見た空の色って俺にとっては一生モノなの。そんな一生モノをお前と、お前と二人っきりで見れて、俺、すげー幸せっ!」
………こいつは、何を…。
あぁ能天気馬鹿の尻尾が見えてきそうだ…。
いや、もしついてたらめちゃくちゃ振ってるぞ。
そんな満面の顔で、本当に嬉しそうな顔で、
俺を見るな。
照れる。
照れるから、本当。
まじ、勘弁しろよ、この馬鹿っ!
「恥ずかしいんだよ!テメェ!殴るぞ!」
「えぇ!意味わかんないよーひどいー」
「うっせぇ!!」
俺も俺で、馬鹿、かもしれない…。
END
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