指と爪の間

アカ

アカ

アカ


僕のまわりがどんどんアカになっていく。


アカだけが広がって、


僕を染めていく…。




「あーアカがいっぱいだー」
「陣…もう、やめよ?」
「えーなんでー。僕はまだアカが見たいのにー」
「…っ俺は、見たく、ないよ…」


天は悲しい顔をしながら僕を抱きしめてきた。
僕のアカが服についちゃうのに、それでもかまわず抱いてきた。


天は、僕がアカいっぱいになることを嫌がる。
なんでだろうねー。
だってアカってすごく綺麗じゃん。


ずっと見ていたもん…。


「なぁ、陣、もう、本当に、やめよう…頼むから…」
「天…でも…」
「分かってる。お前がアカが好きになのは分かってるよ。でも、それでも、もうやめて」
「………」


僕は考えた。
だって本当に好きなんだよ、アカが。
だからやめたくないけど、でも、今の僕には天しかいないから…。


僕の家族は昔、アカに染まってしまいました。
それから僕は一人になって…。
そしたら天が一緒に住もう!って言ってくれて一緒に住んでるんだ。
天といつも一緒にいれて、僕、本当に幸せだよ。
昔より、家族と一緒にいる時よりもずっとずっと幸せ。


だから天の嫌がることは本当ならしたくないんだ。
でも、これはもう僕のクセみたいなもの。
一種の麻薬。
もうやめられないんだ。


それにさ、どうせこんなことやったって死ねないから。
指からいっぱいアカが出ても、その程度じゃ死なないから。
だから大丈夫だよ、っていつも言ってるのに。
でも、天もいつも同じことを繰り返す、

『やめてくれ』って。

僕のこのクセ、どうしたら直るのかなー。
直したいなー。
だって天が嫌がってるし。


僕もいい加減、努力が必要ってことか、な?


「…無理かもしれないけど、努力して、みよう、かなー」
「っ!本当か!ああ二人で頑張ろう!俺はいつでもお前と共にいるから」


努力って必ず結ばれるものじゃないのに。
ただちょっと頑張ろうかなーって言っただけなのに、この喜びよう。


うん、やっぱ天には笑っていて欲しいなー。


よし頑張ろうーアカから脱出するために。




確かに僕はアカが好きだけど、

でも、僕が本当に、心から好きなのは、


天だから……。


こんな狂ってしまった僕と一緒にいてくれる天が、大好き。
天だけが、好き。



それ以外は何も興味がないの。

アカ、以外はね……。





END


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