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黄蝶
9 side:不二
試合中、コートの外を見れば翡翠の姿があった。

早く試合を終わらせて翡翠に抱き付く英二を引き剥がそうと思い、越前に白鯨宣言をして、試合を一気に僕のペースにした。

最初に白鯨を決めたときの周りの反応は面白いもので、ほとんどの人が驚いていた。

周りがそんなだからか、驚きもせずただ試合を見つめる翡翠は妙に目立って見えた。

自分なら返せるって?

僕は翡翠の試合を見たことないから、どれくらい強いのかわからないけど、僕じゃ太刀打ちできないレベルかもしれない。

あの頭の良さ、中学から始めたバスケで全国の中学生で一番だと言われるほどの実力を身につけるだけの身体能力の高さ。

持久力や瞬発力、動体視力なども並外れている。

きっと桁違いな強さ。

そんな彼がテニスをしないのなんて勿体なさすぎる。

だから試合を見て、もう一度テニスに興味をもってほしかった。

案の定、轟君に頼んで連れてきてもらった翡翠は試合から一時も目を離さず、瞳を輝かせていた。

心からテニスをしたいと思っているような目だ。

少なくとも僕はそう感じた。

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