黄蝶
8
不二が試合を終らせ戻ってきた。
『お疲れ様』
俺のもとに来ていつものように菊丸を剥がした不二に言えば、彼は笑顔で礼を述べ、俺のとなりに立った。
『不二って強いんだね』
「僕と戦いたくなった?」
『まさか』
「なになに?翡翠もテニスするのー?」
不二は俺がテニスをしていたのを知っているが、菊丸は知らなかったんだった。
っていうか、ここにいるメンツで知ってるの、不二と桃城君だけだし。
しまった、と笑顔で菊丸を無視すると不二の方からなんだか恐ろしいオーラが・・・
「ところで翡翠、なんで苗字呼びに戻ってるのかな?」
魔王様降臨・・・。
周りに逃げ場を求めても、皆知らぬ存ぜぬだ。
『だ、だって・・・。応援来てほしいなら俺に言えばいいのに、わざわざ竜磨に頼むから。席前なんだぞ』
「直接言ったってどうせ来ないでしょ?」
『そ、それは・・・』
確かにリョーマ君に頼まれたのに帰ろうとしたけど・・・。
さすがに魔王様のお誘いは断れないよ。
まだ死にたくないもん。
こら、竜磨!!
何気なく笑うな!!
そもそもお前のせいで俺は・・・。
「轟君なら連れてきてくれると思って。どう?テニスしたくなった?」
なに?
目的それなの?
『もうテニスはしないって「うそ。したそうな顔で見てたよ」』
やはり目があったのは気のせいではなかった。
そりゃー、したくもなるさ。
目の前であんなプレーを見せられたら。
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