黄蝶
7 side:越前
白鯨宣言から、不二先輩は難なく試合を終らせた。
「早く終わらせる理由ができたからね」
あの白鯨とやらには驚いたが、なんでまた急にそれをだそうとしたのか聞くと、先輩はそう返し目線をコートの外に向けた。
そこにいたのは菊丸先輩に抱きつかれた翡翠先輩。
応援に来てくれたんだ、と嬉しくなるが、俺は生憎補欠。
「不二先輩が負ければ俺に回ってきたのに」
翡翠先輩の前で試合がしたかったと遠回しで言えば、鼻で笑われた。
「安心しなよ。この試合、まだわかんないから」
なにそれ。
手塚部長が負けるっていうの?
ありえない。
「手塚の腕がもてばね」
俺の思考を読んだように告げる不二先輩に、視線が手塚部長へと移る。
「相手は跡部。怪我のこともあるし・・・。この試合、まだわからないよ」
今度は視線を翡翠先輩に向ければ、目が合いニコリと笑顔を向けられた。
いや、ドキッとしたとかないから・・・。
翡翠先輩は男。
女子より美人だけど。
翡翠先輩は仲の良い先輩。
気になってはいるけど。
って、これじゃまるで・・・。
俺は行き着いた答えに首を降り、再び手塚部長へと目線を戻した。
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